研究開発

Ir微細加工技術

Irの代表的な特徴として、

  • 融点が高く、高温強度に優れる。
  • 高融点金属は高温で酸化されやすいが、Irは耐酸化性に優れる。
  • 耐食性が高い(如何なる酸にも侵されない)
  • 電気抵抗が低い(約5×10-8Ωm@20℃)

などの他、高温において炭素との反応性が低い、酸素透過性が金属中最も低いなど、優れた特性を有しますが、塑性加工や機械加工は容易ではありません。
当社では長年培ったIrの加工技術を微細な製品にも応用できます。

Irプローブピン
Irプローブピン
Ir細管
Ir細管
Irネジ
Irネジ
Ir面状ヒーター
Ir面状ヒーター

製品例

細線、細管、コイル、箔、ネジ等

用途

プローブピン、各種センサー、熱電対、保護管、ヒーター、医療用部材等

超高純度材料

φ300mm, 5N 溶解Ruターゲット
φ300mm, 5N 溶解Ruターゲット

フルヤ金属では、超高純度のPGM薄膜形成用材料を取りそろえています。半導体向け材料や薄膜形成用材料には、低パーティクル性、低い電気抵抗率、耐食性などが求められ、極めて高い純度が要求されます。フルヤ金属では、特にRu、Irにおいては独自の精製工程を経ることで、金属不純物を極限まで抑えた、5N(99.999%)、4N5(99.995%)での提供が可能です。
超高純度が要求される半導体装置内の部品や、STT-MRAMに代表される次世代メモリの電極、次世代LEDのバリア膜、MEMSの電極などへの利用が期待されています。スパッタリングターゲットや蒸着用ショット形状など、お客様の御要望に沿った形状、重量での柔軟な対応が可能です。
PGM+Xといった合金材料開発など、今後も複雑多様化するニーズに対し、日々開発を続けています。

次世代圧電薄膜向け材料 AlSc, Al合金

φ300mm Al-Scスパッタリングターゲット
φ300mm Al-Scスパッタリングターゲット

 次世代の圧電薄膜材料として、AlScN(窒化アルミニウム-スカンジウム)が注目されています。AlとScの比率を変えることで特性が変化し、携帯電話の高周波ノイズフィルターから、自動運転技術の超音波センサーまで幅広い応用が期待されています。
フルヤ金属では早くからこのAlSc材料とRu薄膜(電極材)の組合せに着目し、AlScスパッタリングターゲットの開発を進めてきました。フルヤ金属独自の製粉技術、焼結技術により、これまで困難とされてきたScリッチな組成域でも、大径かつ高密度のスパッタリングターゲットが提供可能です。研究機関、大学とも連携し、当社のターゲットを使用した膜で圧電素子として十分な特性が得られることも確認しております。
今後の市場ニーズに応えるべく、AlScのみならず圧電薄膜形成用のAl合金スパッタリングターゲットの開発も行っています。

FT-eco触媒の技術開発

FT-eco触媒(塗布型)
FT-eco触媒(塗布型)
FT-eco触媒(ペレット型)
FT-eco触媒(ペレット型)

触媒とは特定の化学反応を促進する働きをする物質であり、多くの触媒は高温の環境下でなければ作用せず、この点が触媒開発の課題ともなっています。
フルヤ金属は2015年より低温で作用する触媒「FT-eco触媒」の量産技術開発に取り組み、様々な形状のFT-eco触媒の量産技術を確立しました。このFT-eco触媒は青果物の腐敗を早めるエチレン、アレルギーや悪臭の原因になるVOC(揮発性有機化合物)を常温で効率的に分解除去する機能を有しています。
これまでの触媒でエチレンやVOCを効率良く分解除去するためには200℃以上の環境下が必要でしたが、FT-eco触媒は氷点下から30℃の環境下でも効率良く除去することが可能です。
FT-eco触媒はエアコンや空気清浄機、冷蔵庫などの家電から農作物、食品産業の幅広い保冷庫や輸送コンテナに至るまで幅広い場面での使用が期待できます。
このFT-eco触媒は調べれば調べるほど様々な性能が発見できるため、開発者を飽きさせない非常に面白い触媒です。
今後もFT-eco触媒と会話しながら改良を重ね、様々な分野で活躍できる触媒開発を目指しています。

関連サイト:株式会社Furuya Eco-Front Technology

FT-eco触媒の試験動画

FT-eco触媒の試験の様子を動画でご紹介しています。

悪臭除去データ

触媒無、触媒有
メチルメルカプタン
トリメチルアミン
硫化水素
アンモニア

【試験条件】

触媒重量
(ペレット触媒)
1g
反応容積 9L
温度 室温
測定機器 検知管

【試験委託先】

(一財)日本食品分析センター

元素間融合を基軸とするナノ合金の量産技術の開発

京都大学 北川宏教授が開発した「元素間融合」と呼ばれているナノ合金合成技術とは合金の学問分野では決して混ぜ合わせることができないといわれていた元素を、原子レベルで混ぜ合わせる技術です。
例えば周期表のロジウム(Rh)の両隣にあるパラジウム(Pd)とルテニウム(Ru)とを元素間融合したPdRuナノ合金は様々な物性面でRhと同一であり、触媒性能では同等かそれ以上であることが見出されています。
フルヤ金属ではこの革新的な元素間融合技術で合成した様々なナノ合金種を世の中で幅広く使えるようにするため、京都大学 北川宏教授らと量産技術の開発に取り組んでいます。
元素間融合技術は非常に過酷な環境下での合成手法となるため、量産化技術の確立は非常に困難な道のりです。
しかし、元素間融合技術は多くの企業から期待されている技術であるため、企業の皆様に早く喜んでもらえるよう、日々、技術開発に取り組んでいます。

PdRuナノ合金のSTEM画像
ナノ合金の用途