サステナビリティの考え方

トップメッセージ

フルヤ金属は、創業以来、国内外の貴金属製品メーカーの中で、プラチナ族元素のイリジウム・ルテニウムに着目した唯一のメーカーとして、企業理念である「科学技術の発展に寄与し、社会の繁栄に貢献する」ことに一意専心努めてまいりました。

日進月歩の科学技術や社会の変容ぶりを目の当たりにしながら、お客様の期待や市場のニーズに如何に応えようと走り続けてきた結果、スマートフォン製造に欠かせない高機能貴金属機材、磁気記憶メディア用ターゲット材、半導体製造装置向け温度センサー、触媒や有機EL向け化合物、貴金属資源リサイクルなどの当社の製品やサービスは、今日デジタル社会の進化やCO₂削減・省エネの一翼を担っています。

一般的に「企業にとってのサステナビリティ」とは、利益のみを追いかけるのではなく、自然環境や社会システムの維持にも目を向けながら、企業価値を拡大させ顧客に製品を供給し続けられる可能性を有することである、とされています。そうだとすれば、私どものこれまでの歩みを振り返った時、社員一人一人が自社の企業理念を地道に実践し、イリジウム・ルテニウムの特性を生かした新たな需要を創出してきたことが、自ずと環境保護や社会の発展に貢献するものとなり、結果として企業のサステナビリティを満たしてきたと言えるかも知れません。

しかしながら、100年に一度といわれるパンデミック、峻烈な気候変動と自然災害、環境破壊等による生態系の異変、人類共通のリスクが加速的に深刻化している現在、私たちは、かつては当たり前ではなかったはずの事象を「ニューノーマル」と呼ぶような、強烈なパラダイムシフトの真っただ中にいます。AIやブロックチェーンを始めとするデジタル技術の加速度的な進化は、DXを通じて新たなビジネスモデルを生み、社会の利便性を向上させてきましたが、一方で利便性と引き換えに、リスクも顕在化しているのも事実です。脱炭素エネルギーの活用においても反面、その過程においてCO₂の発生があることを忘れてはいけません。
私は、未来が過去の延長線上にない以上、当社が未曾有のパラダイムシフトを乗り越え存続していくためには、これまで無意識に対応してきた「受け身のサステナビリティ」から、これからは、社員の一人一人が、今リアルタイムで体感しているパラダイムシフトを自分自身の問題として捉えて積極的に関わっていく、「自発的なサステナビリティ」に転じることが、重要だと考えています。その上で今度は、全社員がひとつになって、「フルヤ金属が思う社会の繁栄とはどんな社会か」、「地球環境や社会が直面している課題を解決するために貢献できる科学技術はどのようなものか」、「デジタル技術の進化や環境問題へはどのように取り組むのが正しいのか」、「当社の技術はどのように貢献できるのか」、を熟考した上で、具体的な施策やプロジェクトに落とし込んで実行してまいります。

また、サステナブルな成長を続けるためには、健全で揺るぎない企業統治システムが不可欠であることは言うまでもありません。サプライチェーンを含むリスクマネジメント、コンプライアンス、人財基盤、ガバナンス体制など、一連の企業統治システムの整備、強化についても、着実に進めてまいります。

フルヤ金属が、企業理念を貫きながら持続的成長を続けて行くための、「自発的なサステナビリティ」を、経営のトップとして私自身が責任をもってリードしていく覚悟です。

2023年1月

代表取締役社長
古屋　堯民