トップメッセージ

“5本柱経営”を進化させよりパブリックな企業として社会に貢献しながら着実に成長してまいります。“5本柱経営”を進化させよりパブリックな企業として社会に貢献しながら着実に成長してまいります。
2024年6月期(第56期)の業績について分析をお願いします。
上期の厳しい状況を見据え、生産体制の見直しや営業体制の改善など事業を堅実に進めました。
第56期の業績は顧客の在庫調整の影響などにより前期実績に届かなかったものの、下期ないし第4四半期以降は受注が回復しました。こうした厳しい状況を予測し、通常は取り組みにくい生産体制の見直しや営業活動の改善を行いました。また、製品価格の改定もお願いし、収益構造の改善を行いました。
セグメント別の業績としては、電子は主要製品のスマートフォン向けのイリジウムルツボで顧客の在庫調整の影響による受注減が続きましたが、第4四半期から回復傾向に転じました。シンチレーター向けイリジウムルツボの受注は堅調に推移しました。
薄膜はデータセンター需要の回復によりHDD用ルテニウムターゲットの出荷量が第4四半期から増加しました。付加価値の高い次世代半導体向けターゲット材のサンプル出荷が継続し、新素材のターゲット材が出始めました。
サーマルは国内及び海外の半導体装置メーカーからの受注が堅調に推移するとともに、高付加価値製品へのシフトが進みました。
ファインケミカルは有機EL向け化合物、化学プラント向け化合物の受注が回復し始め、電極用触媒が好調に推移しました。
リサイクルは堅調な引き合いを維持しながら、生産体制の見直しと営業体制の強化を進めました。
配当につきましては1株当たりの配当金を286円(普通配当256円 プライム市場上場記念配当30円)といたしました。
2025年6月期(第57期)の業績予測と取り組みを教えてください。
顧客の在庫調整からの回復を見込み生産体制を強化しながら需要の増大に応えてまいります。
第57期は、前期後半からの需要回復の継続が期待できることから、増収増益を見込んでおります。
具体的な状況や取り組みとしては、電子はシンチレーター向け及びSAWフィルター用イリジウムルツボの堅調な需要に対応していきます。
薄膜はHDD用ルテニウムターゲットの出荷増を見込んでいます。次世代半導体用ターゲットに対応したサンプル出荷や粉末スパッタリング量産装置による広範な分野に向けたサンプル出荷を進めていきます。
サーマルは半導体製造装置メーカーの増大する需要に対応し、高付加価値製品の投入拡大を図ります。
ファインケミカルは電極用触媒や有機EL向け化合物の需要増に対応します。東芝エネルギーシステムズ株式会社とイリジウム安定供給網構築への覚書を締結し、水素ビジネスへの対応を進めます。当社子会社である株式会社ナノ・キューブ・ジャパンを吸収合併し、ナノ合金の量産に向けた研究開発をさらに強化していきます。
リサイクルは引き続き取り扱い品目の拡大を進めます。
今後のフルヤ金属についてお聞かせください。
5本柱経営を推進し新たな柱の創出を目指します。
当社は、2025年6月期を初年度とする3年間の中期経営計画を策定し、企業価値の向上に取り組んでいます。事業の5つの“柱”(電子、薄膜、サーマル、ファインケミカル、リサイクル)を強化し、相互連携によるシナジーで強固な経営基盤を構築する“5本柱経営”を進めています。さらに、グリーン・デジタルなどの新規分野を積極的に開拓していくことで“新たな柱”の創出を目指しています。
中期経営計画は、2027年6月期の売上高を820億円まで拡大する積極的な計画にしていますが、新しい商材を市場に出して事業化していくことで売上目標を達成していきます。新しい商材としては、新素材のターゲット材や従来の温度センサーとは異なる熱コントロール機器、水素社会に向けた水電解触媒など、広範な分野で研究開発と事業化を進めています。
こうした開発案件を事業化し、その後の増大する需要に対応していくために、昨年12月に公募増資を行い、約100億円の資金を調達しました。調達資金は、当社のマザー工場であるつくば工場の拡張や新千歳工場の建設など、増産に向けた設備投資に充当する予定です。
また、昨年12月に当社は東京証券取引所スタンダード市場からプライム市場に移行し、今年7月には株式分割を実施しました。よりパブリックなイリジウム・ルテニウムのスペシャリストとして、環境や持続型社会に貢献してまいります。
第57期は売上高56,000百万円、経常利益12,000百万円を目指してまいります。なお、配当につきましては96円を予定しております。デジタル社会の進展とグリーン社会への転換に貢献しながら着実に成長してまいります。